西オーストラリア大学の研究者らは、鉄鉱石の収量を増加させながら、コストと、廃棄物の採掘による環境への影響を削減する新しい化学添加剤を開発した。
西オーストラリア大学の工学部の化学技術者であるYee-Kwong Leong教授は、特許を取得した複合化学添加剤は、加工の途中で廃棄される不要な採掘副産物である尾鉱の影響を軽減するだろうと述べた。
「ピルバラの一部の鉄鉱石処理工場では、湿式加工処理の段階で貴重な鉄鉱石を不必要な物質から分離するうえで問題が発生している」とLeong教授は述べた。
「鉄鉱石と廃棄物を分離することが困難な場合、鉱山会社はダムで尾鉱を処分することになる。」
化学添加剤は、水中に浮遊する貴重な鉄粒子を含む半液状の混合物である懸濁液に添加し、懸濁液中の不純物から鉄鉱石を分離することで作用する。
「私たちの化学添加剤は、物質から粘着性のある不純物を除去し、鉄分を多く含む産出物を非凝集性の粉末に変えます。」とLeong教授は述べた。
「結果的に出来上がった、粗大な不純物を含む鉄鉱石の方が、高強度磁気分離などの通常の鉄鉱石抽出プロセスで処理しやすいのです。」
Leong教授によると、西オーストラリア大学が開発した化学添加剤は、懸濁液の鉄濃度が58%に増加することを可能にする3〜7%の湿式加工状態 -販売のために必要とされる最小の値- で鉄の収率を向上させることができるという。
「我々は廃棄物から鉄鉱石をより効率的に抽出する方法を実証しました、これにより、テーリングダムに捨てられる物は減り、さらに年間数百万ドルの節約になるでしょう。」と彼は語った。
「この化学添加剤は、廃鉱滓が細かくて処理が難しく、水の使用量が多すぎるという問題が大きくなっていることに対応して開発されました。」
この添加剤は、鉱滓の粘度(濃さ)を最大95%低減させることができます。
「高粘度の鉱滓により生じたこのボトルネックは、処理プラントの出力を低下させ、処理プラントと鉱滓ダムの間に大きな距離がある場合に増幅されます。」
また、Leong教授は、滓をペースト状になる手頃な添加剤を開発することで、ダム内での滓の貯蔵の安全性を向上させることができた。
新たに開発した化学添加剤が産業界で使用されるためには、安全性と環境管理の評価を受ける必要がある。
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【原典】Unique chemical helps salvage iron ore from mining waste (01 OCT 2020)
URL;https://www.uwa.edu.au/news/Article/2020/October/Unique-chemical-helps-salvage-iron-ore-from-mining-waste